「ねぇ、昨日の中継見た?!」

「もっちろん!」

「ダーク様、格好良かったね〜v」

「ね〜v」







朝、大助のクラスの女子は、ダークが昨晩出ると決まってこの話題で持ち切りになる。

本人がいることも知らずに…
















†Relation†















“だぁーもうームカツク!!何なんだあのキザ野郎!!”



昨日からこの調子のダーク。

大助の頭は、ダークの声の大きさですでに二日酔いのようにグラグラ状態である。


『ダーク、もう終わっちゃった事なんだし・・・。』


この言葉も何度言ったことやら。


“いや、絶対ケリつけてやる!そうじゃなきゃ俺のプライドが許さねぇ!!”

『…それにしても、何でキッドは盗った宝石返しちゃったんだろう?』

“…それもムカツクんだよ!!”


ダークは自分の髪の毛を掻きむしる。








「でもさー、宝石盗れなかったね。」

「そう!それも全部キッドのせいよ!!」

「しかも、盗んだ宝石返したんですって!」

「そうそう!」

「でもさー、何で宝石返しちゃうんだろう?」

「さぁ?」








何人かでかたまって議論を交わす女子を、大助はちらりと見る。


後ろに大きなリボンを1つ止めている、話の中心になっている女の子。


原田梨紗。


大助の元思い人で、最近ダーク一筋になってしまっていて、冴原にダークの写真を

売ってもらっているほど。

占いで、ダークとの相性も見ているとか(姉談)





『ダーク、原田さんたちは味方みたいだよ。』

“まぁ、梨紗は俺一筋だからな。”


ダークはニヤリと笑う。








「そういえば、ほんの一瞬くらいしか出てなかったけど、工藤新一さん出てなかった?」

「出てた出てた!」

「あの人は、格好イイって言うより、綺麗って感じだよね〜。」

「なんたって、世界的大女優だった人が母親だもん。」

「まつげ長いし、足長いし。」

「それに、推理作家の父親で、頭良いし。」

「サッカーもプロ並み!」

「恋人いるのかなー?」

「いや〜、気になるーv」








『…工藤さんって、あんなのすごかったんだ。』

“お前、知らなかったのか?下調べくらいしとけよ。”

『だってそんな暇なかったもん。』


大助は口を尖らせる。


『ねぇ、ダーク。キッドと工藤さんってどういう関係なんだろう?』

“笑子の話だと、工藤が現場に出て来た時は絶対に工藤が返してるみたいだぜ。

だから、「敵同士」ってわけじゃなさそうだな。”

『日渡君に聞けばわかるかな?』

“ばーか、あいつが教えてくれるわけないだろ。”






「丹羽。」






「うわっ!」


大助は、突然かけられた声に大袈裟なように反応した。


「ひ、日渡君。」


横に首を捻らせると、いつもの無表情な顔でこちらを見つめる。


日渡怜。


14歳で大学を卒業。現在は養父の手伝いとして、総司令官の座につく。

中学へ通う理由は、定かではないが大助に会うためらしい。



少しの間、日渡が口を開いた。



「…放課後、空いてるか?」


「…え?」


突然の日渡の誘いに、大助はポカーンと口を開く。


「空いているのなら、放課後校舎裏に来てくれ。」


それだけを言って、日渡は自分の席へ戻った。



『・・・どうしよう。』




大助の戸惑いとは裏腹に、授業開始のチャイムが鳴り響く。








++++++++








放課後





「丹羽君、帰ろう。」



話し掛けてきたのは、ショートカットのボーイッシュな女の子。


原田梨紅。


大助の恋人で、梨紗の双子の姉。
照れ屋で梨紗とは少し対照的な姉らしい性格である。


「ごめん、梨紅さん。今日はちょっと用事あるから早く帰らないといけないんだ。」


心底すまなそうに大助は謝る。


「そっか、用事なら仕方ないよね。」

「本当にごめんね。でも、明日は一緒に帰ろう。」

「うん!」


梨紅はにっこりと笑う。


「それじゃ、また明日!」

「バイバイ!」



カバンを持ち、大助は大急ぎで校舎裏へ向かった。








++++++++








タッタッタッ・・・



“本当に行くのか?”

「うん。もしかしたら昨日の事教えてくれるのかも。」

“…あんまり期待しねぇほうが良いと思うけどな、俺。”


ダークはため息をついた。




校舎裏には、既に日渡が待っていた。
大助は少し呼吸を整え、表情を引き締める。

日渡と3mほど離れ、止まる。



「話って、何?」

「・・・ダークは起きているか?」

「うん。」



そう、日渡は知っている。大助が“あの”怪盗の一族である事を。


「…なら、ダークも聞いてくれ。」



少しの沈黙の後、日渡は口を開いた。










                       +++++










「はっくしゅ。」

「大丈夫?」


隣にいた快斗が、心配そうに見る。


「あぁ、大丈夫だ。」


新一は、鼻をすすりながら答えた。


「今年は去年より暖かいと思ったのになぁ。」

「ばあろぅ。それじゃあ地球温暖化の影響が進んでるってことじゃねぇか。」

「・・・そうだけど。」


快斗は不満そうに答えた。



ここは、言わずも知れた工藤邸。

今、新一と快斗は、暖房の効いたリビングでのんびりとティータイムを過ごしている。
今日は、江古田と帝丹両校が学校閉鎖で午後の授業は中止。
そのおかげ(?)で、2人はのんびりとこの時間を過ごしている。


「快斗。」

「うん?」


「“あいつ”を、お前はどう思う?」


普段は滅多に快斗の“仕事”の話はしない新一が問う事。
それは昨日の怪盗ダークについて。
快斗も正直、少し話がしたいと思った。
なぜなら、彼は40年という長い歳月を経て、再び姿を現した怪盗なのだから。
調べても、彼の事について詳細が分からない。
ただ分かるのは、“男”だということと、背中に“黒い羽”を宿している事のみ。


「・・・謎の多い男ってところかな?」

「ふーん。」


新一は、気のないように言う。


「新一はどう思ったの?」


逆に快斗が問う。


「…人間じゃない、かな。」


突拍子も無い言葉に、快斗は目を見開いた。


「俺は、ダーク専門の日渡総司令官と話したんだよ。
その時聞いた話では。」

「待った。」



分からない事は自分で調べる。



それが彼のモットーだ。


「・・・分かったよ。」


新一は、苦笑いしながら言った。


「とにかく、俺の言える事はそれだけだな。」

「人間じゃない、か。・・・またやり合ってみたいな。」


快斗は、いつの間にか“怪盗の顔”になり、不敵な笑みを浮かべた。










second stage, readey…?





空華さまのコメント▼

た・い・へ・ん遅くなりました;
本当に申し訳ございませんクロキ様。
遅れたのに、全然リクにそってないし(最悪)
そして、この後第2部スタートです!
既に、トリック諸々なんかは考えてあるので、それを文にするだけです。
今度は早く更新するようガンバリマス!



▼管理人のコメント

[ Bule is Like ]の葵空華さまより頂いてしまいました、素敵小説です!!
このお話は空華さんの連載なさっている「Two the Phantom」の番外編でございます。
怪盗KIDと怪盗ダークの夢の対決がご覧になれますよ!
興味を持たれた方は何よりもまずこちらのサイトへゴーゴーですvv
クロキは萌え話に一目惚れしてしまいましたvv
第一部「サファイア・スター」編と第二部「シルバニズム」との閑話ということですが…
これはもう続きが気になって気になって仕方がないのですが!!
工藤新一最愛主義の私には、大助たちの世界にまで名前が知れ渡っている新一というのがとにかく嬉しいですv
これから2人の怪盗と名探偵、そして年若い警視総監がどう関わっていくのか…
こっそりと通いつつ応援しております♪
空華さん、本当にどうも有り難う御座いました!



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