今日、新聞やテレビで騒がれている。
白のスーツに白いマントに白いシルクハット。そしてモノクルをつけた正体不明の神出鬼没な怪盗紳士。怪盗KIDについて。



あの気障なこそ泥が、まさかこんな詐欺だと思うようなおちゃらけた少年だと気付くのはいないだろうし、思いもしない事だろう。


それも。

仕事前にのんきに自分の隣で眠っているなんてのも、可笑しな話だ。

いったいどこで、何を間違ったというのだろうか…。

だが、それを許してしまっている自分も自分のような気もするが・・・。



まぁ、今日は寝かしておいてやることにする。

人前で滅多に寝る事のない彼が、自分の前で寝ているという事は、それだけ信頼していると思ってもいいから。







いつのまにか同居して、一緒にいるようになった奴。

自然と一緒にいて、一緒にいるのが心地いいと思うようになった。



そんな奴と出会ったのは数ヶ月前。
綺麗な満月の夜。



たまたま興味本位で向かった、必ず立ち寄る中間地点だった。





















..ある夏の日..




















屋上の扉を開く前、感じた気配でそおっと様子を伺えば、何やら大変な事になって余裕をなくしている白いこそ泥がいた。

自分がここへ来ていることさえ、気付いていないようだった。いつもなら気付くので、悔しく思っている分、それだけ厄介なお客が来ているのだとわかった。



「今日こそ、観念してもらうよ。」

それは白いこそ泥の声とは違っていた。

変装もしていない彼が、他人を装う事なんてしないとわかっているから。

それに、動く気配が白いこそ泥とは別のものだとわかっていたこともあるだろう。

「何やら物騒なものをお持ちのようで。」

相変わらず、ポーかフェイスで内面の感情を押し隠し、気障に相手を挑発する男。

「どうやら、これ以上は宝石探しで泳がすつもりはないみたいでね。」

それで自分に依頼してきたんだと、ぺらぺらとしゃべる男。間違いなく、何らかの相手によって依頼を受けて怪盗KIDを始末しに来た物騒な殺し屋というところだろう。

だが、プロではなさそうだなと勝手に判断する。

何せ、自分がここに潜んでいる事を気付いていないからであるが、生憎この天然な探偵君は自分が他人に覚られないような気配を殺すものを得とくしている事をわかっちゃいない。

まぁ、毎回あのキッドに気付かれていれば、そう錯覚してもしょうがないのかもしれないが、キッドでさえも気付けない事もあるのだ。

それだけの実力を彼は持っていた。

しかし、目の前にいる二人もプロといっても過言ではない実力の持ち主である。

一度結論をだせば、あまり深く気にしない彼である。たまにそれが危険を背負い込む事もあるのだが…。



さて。キッドに唯一名探偵と呼ばれる彼、工藤新一はこれからどうしたものかと考える。

まずは、このまま気付かれずに警察に連絡をしようと携帯で馴染みの警部に連絡を入れた。

すぐに行くから、大人しく待っていなさいと言われたが、生憎この探偵君は大人しくしているのが嫌いであった。

「さて、話もこれぐらいにして、観念してもらうか。」

ガチャリと物騒なものを構えてキッドを狙う男。

それを聞いて、新一は飛び出した。

キッドを押し倒して、男へと自分の持っているものを向けて打つ。

ちょうど、キッドが立っていた足元に男が打った弾が当たり、新一が打った、麻酔針は男の左足に刺さった。

「め、名探偵?」

「な、何者だ?!」

いきなり登場してきた新一に、キッドもだが、男も驚いた。

そりゃそうだ。気配に敏感な闇を歩く二人が、共に新一の存在に気付かなかったのだから。

「悪いが、目の前で犯罪をするのなら、全力で止めさせてもらうぜ。」

睨んでいるのだろうが、新一の場合はたちが悪い。

誰もを惹きつけてやまない、己の魅力について無頓着な新一。男は動きを忘れて新一に見入ってしまっていた。

それと同時に、新一のその蒼い瞳に魂が吸い込まれてしまうような感じで、目を離す事が許されない。

「えっと、名探偵は今晩私のショウへのお越しはなかったようですが、どうしてここへ?」

「事件の帰りにどっかの白いこそ泥さんが飛んでいくのが見えて、答え合わせもかねて来てみただけだ。」

それは、確かに本当のこと。

事件が終わったあと、見かけるまではすっかりと忘れていたキッドの存在。さすがにその返答に悲しくなるキッドであるが、来てくれた事には間違いがないのでうれしくは思う。

だが、相変わらず事件体質というのか、自ら事件に突っ込んでほしくないと思うところもある。

「だいたい!お前もなんでこんな変なのに好かれるんだ!それに、お前もお前で簡単に背中許したりすんなよ!」

なんだか全てにおいて気に入らない彼は、二人にそれぞれ文句を言う。

確かに、こんな変なのに好かれてもうれしくないし、好かれるのならこの恋愛にかなり鈍い名探偵であるし、好きで好かれているわけでもないので、そろそろつぶしにかかろうかなとは思っている。

男はというと、簡単に背後を取られたばかりか、出てくるまで気づかなかったと言う失態からいろいろあるが、それをこの少年に言われると、なんだか迫力があって言い返せない。

普段ならば、むかつくし、すぐに目撃者を始末しようと思うのだが…。

「あ…。」

怒りに任せて文句を言っていた新一の耳に聞こえてくるサイレンの音。

キッドとこの男も聞き取ったのだろう。

「邪魔が入ったな…。」

「そうですね。名探偵が入った時点で、ですが…。」

「確かにそうだ。」

「何が邪魔だ、何が!」

今日はやめだと、すぐに去って行く男。

私も舞台を降りなければいけませんねと、つぶやくキッド。

今日は簡単に背後を取れるだけではなく、キッドが危険なのはわかっていたが、それに遭遇してしまって何かがかわってしまったのか、少し頭の整理ができれていなく、何やらぶつぶつ呟きながら考え始めた新一を見て、ふとキッドは考えた。

バタンと扉が開かれれば、馴染みある警部が現れた。

「見つけたぞ、キッド!お、工藤君、無事かね!」

探偵が嫌いな中森警部が唯一認める探偵の無事の姿を確認して、すぐにキッド逮捕の為に足を進める。

「困りましたね。しかし、私はまだ捕まるつもりはありませんからね。今日は帰らせてもらいますよ、中森警部。」

そういって、まだぶつぶつ言いながら考え込んでいる新一の肩を抱き、マントの中へと隠した。

さすがにそれを見て、慌てる中森。連れて行かれるのは困るのである。

「それでは、迷惑をかけてしまった名探偵にお礼もかねて家まで送らせていただきますよ。」

そういって、いつものように煙幕を使ったかと思えば、そこから姿を消していた。









いつのまにか、建物の屋上ではなく自分の家のリビングのソファの上に座っていた。

「あれ?」

どうしてだとあたりを見れば、屋上で見た、目立つ片割れがいた。

「あ、やっと意識が戻ってきました?」

なんだか失礼な事を言われているが、今の新一は状況整理で忙しかった。

「なぁ。なんで俺はここにいる?それに、なんでもお前もここにいる?」

さすがのキッドもすぐには返答に困る質問であった。

「…名探偵。」

「なんだ?」

「物騒な方に背後を簡単に取らすなというわりには、どうしてこうも簡単に私に連れてこられてのんきにいつまでも考え事の旅をして、今自分の状況がどうだとか気付きませんね。」

言われてみればそうで、そのキッドの物言いにむかつきを覚えた。

「うっせぇ。」

「…。」

答えろというわりには、答えたら答えたで文句をいう。

だが、そんな彼もまた、見た事がない彼で見れた事に喜びを感じているのには、やはり抑えられないなと思う。

それでも、まだ自分の思いを言えずにいたりもする。

臆病になって、この天然で鈍い彼に気づいてもらう事は難しいので言わないとわからないのに、犯罪を嫌う彼に言えば嫌われるのではないかと思うからである。

「なら、もう用はないだろ。帰れ。」

今ここにいるのは、警察が必死に捕らえようとする、国際的指名手配犯である。それにもかかわらず、簡単にもういいから帰れなどと言う新一に複雑な思いを持つ。

やはり、窃盗は管轄外で興味がないというだけあってか、この怪盗KIDでさえも興味が無いものなのだろうか。

そんな考えに沈んでいた時、ふと第三者の気配を感じ取り、部屋の扉の方を見た。

「…可笑しな客が来ているみたいね、工藤君。」

現れたのはお隣の怪しい化学者の灰原哀であった。

「これはお嬢さん。こんばんは。」

挨拶をしてみるものの、そんなのはいちいちいらないわ、と返された。前に会った時と同じじゃないとまで言われた。

そういえば、確かにそうかもしれないなと過去を振り返る。その間に、よくそんなので怪盗名乗れるのねと、鼻で笑われて、態度で馬鹿と言われてしまった。

なんだか、この二人を相手にしているときのキッドは情けないものであった。

「それで。どうして今日、検診をさぼったのかしら?」

「あ…。」

今の今まで忘れていたのだろう。バツを悪そうにして、謝る新一。素直に謝る姿は哀のような気を許したものだからこそ見られるもの。

なんだか面白くなく、嫉妬している自分がいる事に気付くキッド。

「それで。その白いこそ泥さんをどうするつもりかしら?確か、今日は予告の日だったわよね。」

そのまま拾ってきたのかと聞かれて、反対に連れてこられたのだと答えれば、何やら考える事があってなのか、キッドを見ながら妖しげに笑みを浮かべる。

なんだか、背筋に何かが走ったような感じがして、ぎくりと生唾を飲むKID。なんだか恐ろしい事が起こりそうな予感である。

「まぁ、いいわ。明日の朝、来て頂戴。あ、彼、借りていってもいいかしら?」

「…どうするんだ?」

「…ちょっと実験に付き合ってもらうのよ。」

その言葉に、危機を覚えたキッド。だが、新一はその実験がマウスのように扱われるのだとは思っていない。ただ、無駄に頭の回転がいいから、補佐で使おうと思っているのだと思っていた。

哀れ、キッド。

たとえ、警察や組織を翻弄させる神出鬼没な怪盗紳士であっても、この二人には勝てない。

最強で天然な名探偵と最凶で最悪な化学者にはキッド以外に人間にも無理だろう。

もしかしたら、神や魔王さえも無理かもしれない。そう思ってしまう。

そんなキッドを他所に、こいつが忙しくなかったらなと言う。きっと、実験といった彼女の本意を知らないからだろう。それと、絶対の信頼を持っているからだろう。

だが、その彼女の眼が、新一に手を出したり泣かせたりしたら許さないと語っているのは間違いが無い。

こんなところにも、敵はいたようだ。





その後。

明日検査をするための用意と、博士の様子を見てくると隣へ戻っていく哀。

はぁとやっとゆっくり息がつける。

そして、ふと新一の生活状況を思い出したキッド。

確認してみて、やはりといっていいのか、どうやって生きたきたのか問いたい思いを抑えながら、夜食つくるから食えとほぼ命令形でいい、今からコンビにで材料を買ってくるから、それまで待ってろと言って、勝手に部屋を出て行ったKIDに、本当にあいつは何がしたいんだと首をかしげる新一の姿があった。

ほんとうにすぐで、キッドは白い袋を提げて戻ってきた。

だが、違っていたのはあの白い衣装を脱いでいた事だった。

確かにコンビニへあんな目立つ格好をすれば不審者と思われるからわかるが、モノクルまではずして探偵の前に姿を見せるとはどういうことだ。

「…てめぇ。変装はどこに置いてきた…。」

間違いなく、これはキッドの素顔だと確信する新一。だからこそ、余計にむかついた。

「変装なんてものは、名探偵には通用しませんからね。いいんです。」

確かに、キッドがどれだけ変装しても、その気配を感じ取る事が出来るからわからないことはない。だが、素顔は知らないのだから見せられれば、正体を明かしているようなものだ。

何より、この顔には見覚えがあるからだ。

それによって、自然とこれが二代目であることに気付き、先代が彼であるのだと気付いた。

「…お前、完全に馬鹿だな。」

「馬鹿だなんてひどいな。これでもIQは400ぐらいあるんだよ?」

「きっと、それは間違ってるんだ。もう一度測りなおしてこい。」

本当なのに〜と怪盗紳士には似合わない口調で話す彼。完全に地でいるのはわかる。

何せ、新一はこの相手を知っているだけではなく、話もしたことがあるからだ。

「ひどいなぁ…。ほら、出来たよ。」

食べてと差し出すこそ泥が、本当にあのこそ泥と同じなんだろうかと思う。そして、絶対に詐欺だと思う。

まぁ、窃盗罪の他にもいろいろとあるようなこそ泥である。今更詐欺の罪に問われても変わらないだろう。

ちなみに、自分が犯罪者を見逃している共犯者と思われても仕方が無い状況であるが、わかっていない模様。

新一はキッドが用意した夜食を口にして、もくもくと食べた。



もちろん、次の日にはあのこそ泥の姿はないし、しっかりと哀に怒られるのでお隣にいった。



だが、何故かその日から毎晩あの白いこそ泥が、それもインターホンを押して玄関からやってくるのだ。

最初はいったい何がしたいんだと思ったし、追い返そうと思い、これは幻だと思って扉を閉めた事もあったが、帰ってくれなくて、それがまた目立つし、お隣から苦情が来るので引き取っていたからか。

そしてそれは居座るようになった。

どうして来るんだといえば、けろっと『強制的に食べさせないと、食べないでしょ?』だ。

さすがに否定はできないが、こそ泥ごときに心配されるのもまた情けない。

それと同時に、この白いこそ泥はあれから毎日くることに、意味不明な言葉を言って朝には消えるようになった。

『新一、愛してる…。』

『…勝手に言ってろ。それに、言うなら女の子に言ってこい。』

そんな言葉の繰り返し。

きっと、どこか頭の螺子が外れたに違いない。

KIDが本気でいっているのだが、生憎鈍いこの名探偵には真っ直ぐ伝えても伝わる事はなかったのだった。






さて、ある程度月日が流れた頃。

いつの間にか工藤邸に馴染んでいるのがあたり前状態になった居候のような青年が一人。家主の新一も気にすることなく、同じソファでその青年にもたれかかりながら本を読んでいた。

慣れてしまえば問題は無いのか、なんだかんだ言って世話をされて甘やかされた探偵君は、普段ならばすぐに警戒して追い出すところだが、この強引さとどうしてか拒む事をしなかった不思議さを思いつつ、いつのまにか青年…こそ泥こと怪盗キッドは隣にいる事を手に入れていた。

「…珈琲。」

「はいはい、すぐにいれますよ〜。」

すっと立ち上がってキッチンへと入っていく怪盗キッド。

今では、こそ泥やキッドと呼ぶのは不便だし、もともと顔見知りであったので『快斗』と呼んでいる。

自然と居座っている快斗といるのは、あまり苦にならないし、いろいろやってくれて便利だったので、側に置いている新一だった。

快斗としてはいろいろと下心というものがあるのだが、一向に気付いてもらえないし、今度行動を起こすべきかと悩んでいる。が、このまま新一のまったり過ごすのもいいかもしれないと思っていた。

さて、そんな快斗は今晩お仕事があります。もちろん、怪盗KIDという夜のお仕事です。探偵の新一が嫌う犯罪者として夜を駆け巡らなければいけない日です。

新一に嫌われたくなく、止めようと思うこともありますが、やはり達成することなく止めるのはいけないと、今回獲物が現れたので予告を出したのでした。

快斗としてはあまり新一とはなれたくはありませんでしたが、新一がさっさと行って来いというので、しぶしぶ出かけました。

新一は快斗の怪盗をする理由を知っていましたし、それについて話も前したので、前よりも一緒にいるのがうれしくなる快斗。

「夜食に何か作れ。」

「…うん。」

命令形ですが、無事に帰って来いという思いが隠れていることを知っている快斗にはうれしい言葉でした。

鈍い彼ですが、恋愛以外では欲しい言葉はいつもくれるほどの鋭い人です。

「じゃぁ、いってくるね…。」

そうして、今夜も白い鳥は闇夜を駆け抜けます。





いつものように、手ごたえなく簡単に手に入った獲物の確認を済ませ、今日は返しによる元気は無いので真っ直ぐ家に帰るキッド。

「ただいま〜。」

怪盗紳士には思えないほど気の抜けた声が工藤邸に響く。

いつの間にか、この怪盗君の家は工藤邸になっていた。まぁ、主である新一があまり気にしていないのでいいのかもしれないが、通常はあまりよろしくないところだろう。

「おう、帰ってきたか。」

顔をひょこっと出してくれたかと思うと、部屋に戻って本を読んでくるから、何かつくってもってこいという、一言をもらってしまった。

「う〜。」

キッドの服装をすでに脱ぎ、快斗に戻っている彼は新一に触れたくてたまりません。しかし、そこで無視をすると後々が大変です。

作ればもしかしたらべたべたできるかもしれない。彼の頭は新一の事に関してはかなり馬鹿になるようでした。

そして、鼻歌を歌いつつ、彼はキッチンに立つのでした。

こうして、今日も新一に思いは伝わることなく、朝がやってくるのでした。








さて、今日は学校も裏家業も何も無い日です。珍しく、新一の電話もなりません。

これこそチャンスです。

しかし、あまり人前で休む事が出来ない快斗はお疲れのようで、いつのまにか新一の隣にいた彼は眠っていました。

「・・・なんだよ、寝てるのかよ。」

半分呆れながら、快斗の寝顔を見る新一。それはもう、彼が見たいと言うほどの素敵な笑顔でした。

「お疲れ様。・・・そして、お帰り。快斗・・・。」

寝ている彼に伝えるのは、普段の彼なら絶対に口にしない言葉でした。きっと、起きていれば感激のあまり押し倒している事でしょう。

人前で決して深く寝ない快斗が深く眠る事に対して、信頼されているのだと思え、うれしい新一はまったくわかっていません。

快斗を喜ばせば、理性のたががはずれ、押し倒されておいしくいただけれてしまうことを。

しかし、生憎彼は寝ています。

それが良かったのか悪かったのか・・・。

「ったく、寝るなら部屋で寝ろよな。」

身体おかしくなるぞといいながらも、彼は相変わらずうれしそうでした。

実は、新一も快斗と出会ってから、散々言われるようになってから、気付いたのでした。

いつの間にか、快斗の存在が大きくなり、そして好きになっているということに。

快斗の寝顔を覗きながら、髪をいじっていると、ふと部屋の扉を開ける者に気付いた。

「灰原か。」

「借りていたこれ、返しに着たわ。それと、先日言っていた本を仮に来たのだけど・・・。珍しいわね。」

本を持って現れたのはお隣のいろんないみで最強な少女の姿をした化学者でした。

「灰原も、こいつにとっては害の無い人間と思われてるからだよ。」

「あら。じゃぁ、今度からは厳しくするべきかしら?」

ほどほどにしておけよといって、笑いあう。

その時、少し動く快斗を見て、これ以上は起こしてしまうと判断する。

「悪いけど、静かに、な。本は勝手にとっていってくれ。」

しぃっと、右手の人差し指を口元にもってきて、静かにと見せて、小声で哀に伝える新一。

「ごちそうさま、ね。まったく、お互いそうなのに、どうしてさっさとくっつかないのか、不思議だわ。」

そういい残し、お隣の少女は部屋から立ち去った。





快斗が目を覚ましたのは、それから30分後だった。

もちろん、今の会話を知る由もない。

そして、今日もまた甲斐甲斐しく新一の世話をしながら、告白まがいの言葉を伝えつつ、新一にくっつくのであった。










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紅姫さんのコメント▼

絵に合わせた付け合せのようなお話です。書きたい事がありすぎて、ぐちゃぐちゃとなっちゃいました(汗
えっと、実は本当は別の絵で別のお話になる予定でした。二次パロというものですかね?
個人的には楽しんで書いていたのですが、絵は描けないし、暑中見舞いに合わないという事で、止めました。
でも、せっかくですし、先ほどのページをお戻りの際、バナーをクリックしますと、そのお話へと通じています。
よろしければ、読んでみてやって下さいませ。
それで、貴方はどちらの方がお好みですか?

双鏡館  李瀬紅姫 04.SUMMER

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▼管理人のコメント

紅姫さんから暑中見舞いにと頂いた小説です。
なにゆえ今頃のアップかと申しますと…そりゃもうワタクシの所為で御座います…涙。
あまりに遅すぎたお返事にも関わらずお持ち帰りを快諾して下さった紅姫さまの好意に甘え(笑)、
ちゃっかりしっかりイラストと小説の両方ともを頂いてしまいました♪
ページを分けようかとも思ったのですが、やはり同時に見た方がほんのり幸せになれますよねvv
逆パターンはちらほら見かけるのですが、新一さんのもとで安眠する快斗くんはもうすっごく可愛くて!
ワタクシも一発でめろめろにされてしまいましたvv
紅姫さま、どうも有り難う御座いましたー!!