二人が漸くリヨンに着いた時、まだ事態は進展を見せていなかった。 ICPO内はさして騒がしい様子もなく、二週間前に接触して以来、アレスが姿を現したという情報もない。 相変わらず大小様々な事件に振り回されているようだが、新一の無事を確かめられ、快斗は心底安堵した。 だがそう気を抜いてもいられない。 今はまだ無事だが、あの男が同じ国に在りながら何も仕掛けてこないはずがないのだ。 新一がアレスの探している蒼い瞳を持つ人間であるからと言うより、あの男の性格から考えて、新一というゲームを盛り上げるための至高の駒を放っておくはずがないからだ。 アレスは必ず何かを仕掛けてくる。 彼が何の目的でこのフランスにいるのかは知らないが、それだけは絶対だと、二人は確信していた。 「それで、これから具体的にどうするの?」 一旦近くのホテルに腰を据えることにした二人は、今後の動きを相談するため、ソファに腰掛け向かい合っていた。 すると、ベルモットがおもむろに二人の間に置かれたテーブルに地図を広げた。 「私たちは今、ICPO本部に近いという理由でこのホテルを拠点に選んだけれど、いざと言う時の隠れ家が必要でしょ」 ここを見て、と指先で示された場所を覗き込む。 「ここはヴィンヤードの所有地よ。市街地から多少外れてしまうけど、その分他人の目を気にしないで済むわ。今後何かあったら私たちはここで合流する。しっかり頭に叩き込んでおきなさい」 「…誰に言ってんの?」 そう言ってくすりと笑みを零す快斗。 IQ400は決して見かけ騙しではない。 一度見たものは絶対に忘れない有り得ない知能指数を持った少年に、ベルモットは頼もしいわね、と笑みを浮かべた。 けれどそのたった二日後にその隠れ家へ駆け込むことになるとは、二人は思いもしなかったのだ。 |
|
輝石乱舞 |
|
BACK TOP |
|
漸く終わりました、「輝石乱舞」! 第一話を見ればなんと2004年の7月…。 長引きすぎですね。次回はサクサクッと書いていけたらと思います。 本当は新一が撃たれた時やアレスと対決した時の快斗の心理描写も書きたかったのですが、 何だかぐだぐだ同じことを書きそうだったので断念。 ちなみに。 サブタイトルの「輝石乱舞」の石とは、ソウルメイトたちの魂のことです。 輝く魂が乱れ舞う、という感じv 余談ですが(笑) ここまでお付き合い下さって有り難う御座いますvv 次作「midnight carnival」はこのシリーズの大きな山場になる予定ですので、 宜しければこちらもお付き合い下さいませ★ 06.02.22. |