同時に入った連絡に、慌てて駆けつけてみれば。
片一方は、原因不明の大火事に発展していて。 消防隊による懸命の消火作業が執り行われた・・・。
「近隣住民の避難を!」
「はいっ!!」
一課は、慌しかった。
もう片一方は、イッてしまったような男が二人密室で全裸だった。 栗の花の匂いが、きつかったらしい・・・。
「・・・・・白馬、君?」
見覚えのある顔に、中森は絶句してしまった・・・。 数日前から連絡が取れないと、白馬の父親から話を訊いていたが・・・・。
二課は、別の意味で大騒ぎだった。
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渇愛
writteen by puchan
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「やる事がえげつないわね・・・」
ニュースで知ったバカの様子に、哀はのほほんとお茶を飲んでる快斗に呆れた。 殺しはしない、誰も傷つけない・・・それは本当だけど。
よもや、独学で改良したであろう媚薬を投与するなんて・・・。
「当然の仕打ちでしょ、二人でやりあってれば良いんだと思ったんだ。新一に危害はなくなるし」
誰でも良いから、欲しくて堪らない。 そんなのが二人居たら、スル事は一つ。
発見者も仕立てて、懇意の中森警部になってもらったし・・・。
引き離そうとすると暴れるので、二人一緒に一つの部屋にいれられたらしいが・・・。
拘束衣服をつけて・・・・。
薬を抜く為といわれているが・・・・・・。
まぁ、静かで良いわ。
哀の意見はシンプルだった。
『ちょっと出かけてくる』
そう言って、出て行ったジン。 数えて、半月経っていた。
「・・・・帰って来いよ・・・・・・」
もの欲しくなったら、KIDに相手をしてもらえとも言われていた・・・。
ただ、俺を忘れるなと。
組織の残党を仕留めに向かったらしいとは、知っている。
野放しにしておいて、今回のような事が起こったら危険だからと・・・。
毎日、時間もバラにくれるメールが唯一の証。
「ねぇ、お茶しない?」
ほら、声をかけてくれる相手がいる。
ジン、待っているから。
なるべく、早く帰ってこいよ?
もしかして・・・という予感を得て。
快斗がこそこそと動き出したのは、六年を迎えようとした頃。
また、宝石の事かと新一は思っていた。
が。
「新一」
変わらない、声。
細いままの体躯に、優しい眼。
昨日振りと言わんばかりの口調に、新一は駆け出して抱きついていた。
お邪魔虫は退散・・・と、快斗がお隣に逃げたのにも気付かずに。
その夜は、熱帯夜だったらしい・・・。 |