手渡されたモノに、新一は吃驚した。
 よもや、貰えるとは思っていなかったのだから・・・。

 
「・・・外すなよ」

 つけとけ、と。
 ジンは呟く、耳元でゾクリと・・・。

「解った」

 意図を察して、新一は頷く。
 意味無しに、仕掛け無しに、こんな事をする人ではない。
 
 隠すようにして、服の下にして・・・。

 一人で、したのではないのだと気付いた。


「ジン、灰原と手を組んだのか?」

 お隣の子供と。

「あの嬢ちゃん、かなりできそうなんでな・・・意見が一致しただけだ」

 巻き込みはしないから、安心してろ。






 隠れる様にして住んでいたこの場所も、変えなければならないだろう・・・。

 快楽という波と熱を楽しみながら、ぼんやりとジンはそんな事を思っていた。




















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渇愛
writteen by puchan

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 飢えてしまって、喉が渇いてしまって・・・。
 渇ききった欲望は、彼無しでは満たされない・・・。

 性欲処理をするだけでは、もう足りない・・・。


「方法は、あるんやで?」

 ただ、一人じゃできへん。
 一人で楽しもうとしても、地元でなければ意味が無い。

「・・・良いでしょう、僕もこの熱を持て余していましたから」

 共犯でも構いませんよ。
 何せ、相手は『彼』なんですからね。


 それに、一度犯してしまっているタブーなのだから・・・。


 にやにやと笑う服部に、白馬も涼やかな返答を返す。



 誰も知らなかった、暴いた事の無い、彼も知らなかった場所。
 それを暴き、貪ったのは自分達に他ならない。

 
 自分達のモノだと、二人は疑いもしなかった。










 厄介な存在が動き出しているわねと、哀は額に手を当てた。

 本当に厄介なのはこっちだわ、黒と白のバカにも焼きいれなきゃ気がすまないけど。
 それは、脅し程度で済むもの。

 こっちは、命がけ・・・。


 本始動し始めたら、彼らを引き裂いてしまう。
 こんなにも、今が幸せなのに。



「同時になんて考えられないわ、早急にバカをどうにかして・・・」


 でも、彼は知っているのかしら。

 過去、捨てたはずの組織が・・・再び再建をしようとしている事に。
 そうしたら、まず、彼の元へ誰かが赴きそう・・・。

 ぐらつかない?
 自分を慕う者を選ぶか、恋人を取るかで・・・。


 『彼方にとって、工藤君は何かしら?』

 『・・・命さ・・・』

 

 そう、答えたジンを信じていたい・・・。


 工藤君が愛した人だから・・・・・。






 


 鈴蘭は気に入ってもらえたかなぁと、快斗は思う。

 不穏な動きを確実に見せ始めている白馬に、何かまたやらかすのだと察知するのは簡単で。
 ついでに、一人でよりも二人で行動するって事も確認済み。

 そう。
 決まって、犠牲になるのは・・・彼。



 馬の代わりに蹴ってやろうかな・・・・とまで、真剣に考えた。




「白馬、ご機嫌だな」

 意図的に、声をかけた。

「黒羽君、驚かさないで下さいよ」

 吃驚したとばかりに、白馬は顔を染め上げる。
 とても良く似ているのだ、黒羽君と工藤君の声は。 

 大声でいえない事を考え、シュミレートしていた白馬は心臓が止まるかと・・・。


 そんな様子を見て、快斗は「あ、図星」か・・・。

 今日、このまま放置しとくと野獣になるのか?
 向こうには、最強タッグを組んだ二人が居るから・・・ねぇ。


「なんでだよ、声をかけたってだけなのに」

 つれねぇの。

 拗ねた振りして、白馬と別れ・・・快斗はどーすっかなと頭を捻った。




 何がなんなのかと・・・白馬は硬直してしまう。


「・・・工藤君と、そっくり?あの、黒羽君が?」 



 パニクった白馬は、壊れたように笑っていた。











 嬉しいなと、新一は身につけたソレを手で押さえた。

 誰かから、貰う事などあまりなかった。
 あったのかもしれないが、さほど記憶に残っていない。

 心に響かなかった・・・。



「KIDからは鈴蘭、ジンからは・・・」


 優しい思い出を、もらえてる。


 学校帰り、人気のまばらな時間。

 誰かを待っているように、立っている相手が視界に映った。

 黒尽くめの、不審な・・・嫌な感じの、男。
 


「アニキは、何処だ?」


「・・・・・」



 躊躇した一瞬、後頭部に鈍い痛みを感じて意識を失った。


 ・・・組織、壊滅してなかったのか・・・・と思いながら・・・・・・・。



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