どうやって伝えようかと思案していたら、見覚えのある車が目に映った。
 これがあるという事は、運転してきた者も居るという事で・・・。
 
「よぉ」

 待ってたぜ?

「うれしいわ、どうやってコンタクト取ろうかと困って居たんだから」

 肝心の工藤君が昨日から居ない・・・警察の要請に捕まっているわけでもないのならば・・・。
 考えられるのは、二通り。 

 でも、どっちが動いたかなんて・・・ハッキリ解ってる。

 バカは、動いてないんだもの・・・。



「用件は、わかってるみたいだな」

 話が早くて助かるが。

「中に入りましょ、此処じゃ目立ちすぎるわ」

 なんなら、工藤邸でも良いわよ。
 合鍵もっているから・・・。



 その方が落ち着くと、ジンは有無を言わせず工藤邸に入っていった。




















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渇愛
writteen by puchan

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 鳴り響いた携帯から聴こえてきた声に、ジンは眉を潜めた。
 もう、聞くことは無いと思っていただけに不愉快すら感じる。

『アニキ、訊いてやすか?』

 急にすいやせん、驚かれたでしょう。

「なんで、テメーがソレを持ってる?」

 驚いたのは事実だ、この番号は新一しか知らない。
 彼の携帯からでなければかからない・・・それを使っていると言うことは。

 
『アニキの所在を何故か工藤新一が知っているという事を知り、痛めつけても何しても吐かないんで・・・自白剤を使いやした』

 手間がかかって・・・。



 用件と全部を訊き、ジンはやや乱暴に携帯をきった。プリペイド式のものであれば、アシはつかない。

 黙ってやり取りを訊いていた哀は、ポーカーフェイスで訊ねた。
 どうするのかと。



「決まってるだろーが」


「取り返すのね」


「アレは、俺のだ」


「・・・傲慢も其処まで来るとアッパレだわ、認めているけどね」



 じゃあ、動く?

 












 どういう事やと、服部は慌てていた。
 先を越されてしまったらしいのだ、何処の誰かは知らないが・・・。

 一足違いで、工藤は拉致られてしまったらしい・・・。


「・・・服部君」

 僕達だけでは無かったんですね、やっぱり。

「ああ、覚悟してもらわんと・・・」

 許さないで、ワイらを差し置いて・・・。
 

 即日の行動やと、服部と白馬は慌しく動き始める。




 徐に、それを観察してる者がいようとは露知らずに・・・。










 白濁してる意識、体のあちこちが痛い・・・。

 麻痺してるのかもしれないな、俺。


 チャリ・・・と、首筋に引っかかったままのチェーン。


「・・・・」


 ゆっくりと、白く汚れた手でチェーンの端を握り締めて新一は泣いた。



 どうして・・・と。

 こんな事ばかり、起こるのだろうか・・・・。







 部屋の隅でピクリともしない、工藤新一に。
 ウオッカは忌々しそうに舌打をした、こんな天敵じみたヤツがアニキのことを知っていたなんて・・・。

 それが何よりも許せない。

 こんなにも堕落した、男に善がるだけのヤツ・・・・が、である。

 ああでも、この美貌と妖しさが備わっていれば・・・可能なのか。


 見ているだけで、雄を刺激されそうだ・・・。
 我慢できずに、ウオッカは本能のままに新一を再度蹂躙し始める。


 溺れそうだ・・・・。
 



「アニキにトドメを刺してもらえば・・・」


 アニキも、すっきりするでしょう?




 名案の様に言ったウオッカの言葉は、新一に届いてなかった。















 下準備に追われてた中、インターフォンが鳴った。

 玄関に迎え出た哀は、唐突な発言に戸惑う事となるのだが。



「手伝おうか?」



 主語も何もかもをすっとばして、省いたセリフ。


 否は無かった。



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