「バカも動いてるって知ってた?」
なんか、勝手に怒っているんだけど。
「・・・・・」
バカはバカなままだなと、思わずジンは鼻を鳴らす。
あきれ返ったように、哀は動いていた手を止めてしまった。
「自分達が攫おうとした前に、攫ったからじゃない?自分達意外にも狙ってるヤツが多いのなら知らしめて
やろうっていきがって居たよ」
まぁ、盗聴器しかけてあるから筒抜けだけど。
にーっこり笑うKIDに、只ならぬコトを感じてしまう。
余程、彼も煮えくり返っていたらしい。
「・・・どうしたいのよ?」
貴方は。
「馬の代わりに蹴ってやろうかなぁと・・・」
だから、着たんだよ。
新一と残党で手一杯でしょ?
「・・・お前は、認めるのか?」
俺と新一の、コトを。
「仕方ないじゃん、新一が待ってるのってアンタだろうし。前のアンタなら絶対に掻っ攫うつもりだったけど
、今のアンタになら良いんじゃないかなって」
早く、行かないと心配だよ。
酷い状態の時って、錯乱してるからさ。
俺が一番知ってるし。
準備が終われば、素早かった。。
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渇愛
writteen by puchan
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どうしてやろうかと、白馬は頭を捻る。
尻尾もつかめないけれど、この苛立ちはどうにかしたい。
折角の享楽をぶち壊された・・・のだから。
「場所は掴めたんやけどなぁ」
犯人の素性がわからん・・・と、服部は唸る。
入り組んだ小路の、隠れるような場所。
其処に怪しい黒尽くめの男が出入りしているとの情報を得たのは先程。
「行けば、解るかもしれませんね」
考えていても、埒があかないはずですし。
「そーやなぁ・・・黒尽くめっちゅうのが気になんねんけど・・・」
なんだったかな・・・、引っかかるんやけど。
思い出せへんわ。
ある程度の事態を予想して、白馬と服部は動き始めた。
薄暗い蛍光灯の灯った、少しだけ広い場所。
足早に歩いていく巨漢の男は、立っている相手を見つけて手を上げた。
自分だと知らせるために。
気付いたウオッカが、テキーラと相手を呼ぶ。
「ウオッカ、アニキに連絡がついたのは本当なのか?」
「ああ、もうじき来るはずだぜ」
「これでまた、組織の再建が」
「可能だ、この目障りなガキが第一号の犠牲さ」
ほぅ・・・と、テキーラは転がっているモノを見た。
グッタリと意識を飛ばしている華奢な、男。
工藤新一本人・・・。
「まさか、アニキの行方をコイツが知っているなんてな」
腹立たしい限りだぜ。
「・・・・・・」
憤慨しているウオッカに、テキーラは「もしや」と浮んだ疑問を打ち消した。
あり得ない事だと、消し去らねばならないと。
ジン兄貴も、組織の人間・・・それも骨の隋までしみこんでるはず。
わずかばかり身をくらましていただけで、離れ離れになっただけで。
変わってしまうはず、ないのだと・・・。
「バカ、任せてもいい?」
犯罪にしない程度によ?
加減は貴方に一存するわ、私はジンとあちらをしなきゃならないから。
「OK。足止めしとく、どーせ行き場所間違えているし」
そのために来たんだから、役立つはずだし。
「・・・殺しても、良いぜ」
その二人は、目障りだ。
俺的には、許可できるほどに・・・。
ジンの言葉に、快斗は失笑する。
知っているのだ、彼も。
キッドは義賊で人を傷つけない、だから殺しもやらないと・・・。
だが、殺したいという衝動があるのも事実。
「ジン」
ダメよ、貴方がそれを言い出したら。
洒落にならないし、工藤君が悲しむわ。
冗談に聴こえないわと、哀は溜息を零す。
まぁ、彼が本気になったら・・・骨も欠片も残さずに、完全犯罪なんていうのを決行しそうである。
頷きあって、木の葉を散らすように分散した・・・。
カツン・・・という独特の足音に、ウオッカとテキーラは一斉に暗闇を見た。
間違いはない、この音は・・・。
「「アニキッ!!」」
声がはもってしまう。
「・・・久しぶりだな、オメーら」
また、逢うとは思っても無かった。
さりげなさを装って、ジンは視線を足元にずらす。
ああ、と。
視線を追っていたウオッカは、縛り上げて転がしてあった新一を思い出した。
「始末するにも、アニキがしたいんじゃねぇかと思いやして」
銃に弾は入ってますぜ?
どーぞ、と。
差し出された拳銃に、ジンは表情無くウオッカを見据えた。
知らないままに、コイツはタブーを犯した。
俺に変化があることなど、しらずに・・・・・・・・。
中々受け取らないジンに、テキーラは押さえ込んでいたはずの予感があふれかえりそうになる。
違う、どこか、ナニがなのかは解らないが。
前と異なっているのだ、ジンは。
ハラハラしつつも、哀は気配を完全に殺して成り行きを見守っていた。
工藤の安否も気になるが、ジンが短気を起しはしないかと。
丸腰状態であった彼に、すんなりと実弾入の拳銃を手渡したらどうなるのか・・・。
まだ、なのは解っている。
待つだけの、人生だけど。
心臓に悪すぎるわと、哀は少し恨みたくなった。 |